親子自転車ツーリング 冷夏の道東編 

                                                                                                         2001.8.4-10

    次男とは初めての自転車ツーリング。知床峠越えに挑んだ381kmの旅

 

 

 

 

 

 

寒さの洗礼  8月4日 網走→斜里 35km

 出発前から道東の寒さが気になっていたが、女満別空港に降り立つと寒い。15℃しかない。次男はこの日が10歳の誕生日。どんな旅になるのか。網走の宅配の営業所に予め送っておいた自転車を組み立て出発。

 左にオホーツク海、右に濤沸湖を眺めながら、初日の宿泊地、斜里を目指す。ツーリングが初めての息子はすぐに尻が痛いと言い出す。小清水の道の駅からは国道をそれて鉄道沿いを走り、再び国道へと出た。するとランニングで道内を回っている青年を発見。しばらく並走しながら会話する。1日50kmを走っているそうだ。

 斜里の手前にあるクリオネキャンプ場は、テントサイトのすぐ横に温泉があり、冷え切った身体にはありがたい。どうやら今回の旅は寒さとの闘いになりそう。

      

                 自転車を組立て完了            クリオネキャンプ場

 

 

 

 

知床半島へ  8月5日 斜里→ウトロ 42km

 やはり寒さで眠れなかった。天候もよくないため、朝風呂で身体を温めてから、ゆっくり出発することにした。

 雨上がりで水溜りが多く走りにくい。熊ノ湯まで行きたいところだが、冷たい風とどんよりした雲に、調子が上がらずウトロまで、と決め込む。知床野営場には午後1時台に到着してしまった。受付の人によると、今年の利用者は例年の半分だそうだ。

 オロンコ岩に登り、海岸で遊び、ウトロの店で海の幸を食べ、夕陽台の湯の浸かり、走行距離は短いながらも、中身の濃い一日が終了。大木の木立の中の、柔らかなフリーサイトで心地のよい夜を過ごした。明日は、いよいよ知床峠越え。

 

           知床野営場

 

熊におびえ峠越え  8月6日 ウトロ→羅臼 46km


 寒さで熟睡はできなかったものの、サイトが柔らかで寝心地はよかった。テントの外に顔を出すと、またもや青空は見えない。昨日、峰浜であったK親子(チャリダー)と挨拶を交わした。

 ペダルを漕ぎだして間もなく、プユニ岬の上り坂で早くも汗が噴出す。観光客で賑わう知床自然センターでは、ナショナルトラスト運動の土地100屬鯊子の10歳の誕生日プレゼントに買ってあげた。

 さて、ここからが本番。熊よけの鈴を鳴らし、笛を吹きながらゆっくり登っていく。8合目を過ぎるとガスで視界が悪く、息子は「峠まであとどのくらい」を連発する。

 

 

 

                   知床峠に到達!

 

 峠では、自転車で登ったご褒美にと息子は千円のおこずかいをいただいた。

 さあ、これからは楽勝の下りのはずであった。寒すぎてハンドルを握る手が凍え、固まってしまう。いくら下っても霧の中で、景色は見えない。たまらず羅臼の手前5kmの熊の湯の露天風呂に飛び込んだ。温まってから下ること少々で羅臼の街に。ここには、以前ウトロで知り合ったOさんの店に寄って、再会を果たした。

 羅臼峠の途中にある知床みどりの村がこの日の幕営地。羅臼の街からは道の両側には民家が並ぶ広い道を、息子と並走した。今回が5回目の自転車旅行というK親子もすでに到着している。なんと我々と同じ飛行機で女満別入りし、帰りも同日に釧路からだという奇遇。テントにはOさんが訪ねてきてくれ、朝採れたマスを蒸し焼きにしてくれた。

 

       羅臼みどりの村

 

国後を眺めながら 8月7日 羅臼→尾岱沼 55km
 
 
K親子に続いて出発しようとしていると、静岡から来たという家族に声を掛けられ、一緒に記念撮影する。根室標津に向かう道は、結構アップダウンがあり、トンネルもある。国後島を左に見ながら進むうちに、知床半島に別れを告げる。息子が途中気持ちが悪くなり、ペースをぐっと落とした。

 意外と標津は遠かった。ここで北方領土館に立ち寄り、ラーメンを昼飯にした。この日の目的地は尾岱沼青少年旅行村。K親子をはじめ、途中で出会ったチャリダーも一緒のようだ。

 海岸線には藻草が沢山打ち寄せらえていて決してきれいではないが、トドワラ、ナラワラが連なる野付半島の先には国後島も遠望することができる。浜の湯に浸かり、毛布をレンタルして暖かく寝ることができそう。

 

 

 

 霧の世界へ  8月8日 尾岱沼→霧多布 90km

 小雨模様の天気に出鼻をくじかれた。当初は最東端の納沙布岬で折り返して、釧路へ向かう予定であったが、無理せずショートカットし、霧多布をこの日の目的地に変更。ゆっくりの出発。今回の旅では、最長の90kmを走ることに、息子は「無理だよ」と弱音を吐く。しかし、がんばってもらうしかない。

 まずは本別海まで海沿いに南下する。前日までは息子が先頭を引っ張っていたが、この日は向かい風のため、後方につかせる。事前の情報では厚床まで坂はないと聞いていたが、風連湖を過ぎると突然、壁のような坂が現れた。このあと、厚床までジェットコースターのようなアップダウンが連続するとは思いもよらなかった。

 厚床駅前で昼食をとり、進路を西にとる。ここからは国道で交通量が多そう。気を引き締めて進む。直線が続き、両側には牧場が広がる何とも北海道らしい景色。国道をそれて浜中の街へ。郵便局で旅行貯金をして、海岸方面へ坂をくだると霧の粒が当たる。うっすらと霧多布岬が横たわって見える。霧多布の街の手前でK親子と再会した。

 岬の入口は急坂。最後の力を振り絞り、キャンプ場に到着。K親子とビールで乾杯し、焼肉をご馳走になった。夜、温泉へは、霧の中、自転車でライトをつけて出かける。真っ暗な中、ライトが映し出す霧の流れが何とも幻想的で映画のワンシーンのようであった。   

 

 丹頂に、エゾシカに  8月9日 霧多布→厚岸 59km

 
相変わらず熟睡はできないが、晴れているのが嬉しく早起きした。息子と展望台を見た後、海岸へポタリングした。浜辺にはたくさんの昆布が打ち上げられている。霧多布の名のとおり、絶えず霧が発生し、風向きによっては晴れるといった天気。この日は海岸沿いに厚岸を目指す。霧多布の街を出ると湿原が広がる。少々、木道を歩くと、アヤメが咲いていた。

 いよいよ琵琶瀬展望台への登りに取り付く。すると突然道端の草の中でガサガサと???・・・。2頭のエゾシカであった。息子は熊か!と驚いたようだ。展望台からは、海は見えないが、霧多布湿原が一望に。タンチョウも見つけることができた。火散布の漁協内の郵便局で旅行貯金。このあたりは、地図では海岸沿いを走っているのだが、景色は森の中。林道入口には「熊出没」の看板も。やはりオヤジはいるらしい。この区間では1ヶ所だけ、海の展望がみごとな場所があった。下は断崖絶壁。海から霧が垂直に上り、森を包んでいく様子に息を飲む。

 小さなアップダウンを繰り返しながら、最後の坂を下ると厚岸の街に出た。筑紫恋キャンプ場は、町外れの空き地のような環境で残念。和歌山からの若者(写真家の星野道夫の話で気があった)とK親子、そして我々で乾杯。何と3組とも同じルートと日程。飛行機の予約は明後日。天気がはっきりしないため、明日は釧路に向かうか、塘路湖へ向かうか迷う。

 

         

名もない峠に苦戦  8月10日 厚岸→釧路 54km
  
 
 テントの外は深い霧。天気がはっきりわからないが、明日が雨のため釧路を目指すことに。K親子ともこれが最後。結局5泊連続して同じキャンプ場に泊まった。

厚岸を後にすると、すぐにアップダウンが始まった。初日、そして3日目に出会ったママチャリの青年に再会、何と納沙布を回ってきたと言う。最終日になって、ようやく好天になり、半袖シャツに短パンというお決まりのスタイルになった。

 上尾幌を過ぎると本格的な登りになる。道が曲がりくねっているため、カーブを抜けるたびに坂が見えるのには閉口する。息子の方が元気で「休もう」とも言わない。名もないピークを過ぎると一気に下り、別保を過ぎると交通量も一段と多くなった。集中をきらさないよう言い聞かせ、安全策をとって歩道を走る。前方にはかすかに雌阿寒岳も見える。

 釧路の宅配の営業所がこの旅のゴール。自転車を分解して預けて身軽になった。今回の旅では、息子にはアトラクションの要素が少なく少し可愛そうであったが、いい経験ができたと思う。幸い一日早く飛行機も振り替えすることができ、帰途に着いた。