親子自転車ツーリング オロロンライン・道北編 

                                                                                                     1999.8.15-21

    小学4年生の長男と2人での自転車ツーリング。自転車での旅行は2人とも初めてで、期待と不安の出発。

 

 

 

 

 

 船酔いでふらふらの出発 8月15日 旭川→深川→秩父別

 船の揺れもやっとおさまり甲板へ

 

 低気圧の影響でフェリーのベッド揺られ続けた20時間、2人ともふらふらで苫小牧に上陸。帰りも大洗までのフェリーを予約済みだが、絶対に青函フェリーに変更することに決めた。北海道には数え切れないくらい来ているだが、自転車の旅は初めてなので、結構緊張している。

 車で旭川まで移動し、自転車を組み立てて昼頃、いざ出発。息子の自転車には寝袋2つをくくりつけ、私は前後にサイドバックを4つ。実際につけて走るの初めてで、その重さにびっくり。国道12号を深川方面に走り出す。さっそくすれ違うライダーがガッツポーズで挨拶をしてきた。息子はまだ応える余裕もない。初日は留萌を目指したが、息子も船酔いの後遺症と暑さですぐにダウン。途中の秩父別の公園にテントを張ることに。ここはNHKの連ドラ「すずらん」の舞台になった場所に近く、ちょうどSLすずらん号(C11)運転されていた。SLを見に行ったり、温泉に入ったり、ゆっくりしていた我が家の隣に、同じフェリーで苫小牧に上陸したおじさんチャリダー(チャリンコとライダーをかけ合わせた造語)が到着。ひどい船酔いにもかかわらず100km以上も走ってきそうだ(2人とも尊敬の眼差し)。 次の日に備えて早めに消灯。

 

         秩父別のキャンプ場

 

 トンボの群れの中を行く 8月16日 秩父別→留萌→苫前 81km

向かい風に休憩を連発。小平−苫前間で

 秩父別から留萌へは、まず田園地帯を西に進む。するといきなりトンボの大群にでくわした。2人の周りは一面、トンボ、トンボ、トンボ。すべてがオスとメスがペアで南に飛んでいく。「おとうさん、あのトンボみじめだね」、まれに一匹だけのトンボも。

 ひまわり畑の北竜町を過ぎると、美葉牛峠にさしかかる。この日の難所と考えていたが、あっけなく通過し、留萌へと下っていく。すれ違う車からの大きな声援がうれしい。留萌からは暑寒別岳を背に、海を左に見ながら北上する。小平で温泉を見つけ「入っていこうと」意気投合する。さらに北上を続けるが、向かい風でなかなか進まない。息子も太ももの筋肉痛と尻の痛みを訴え、「休もう!」を連発。すれ違うサイクリストは追い風で楽そうだ。

 旧花田家の鰊番屋の道の駅で昼食をとり、風力発電のプロペラがそそり立つ、苫前のグリーンヒルキャンプ場を今晩の寝床に決めた。あと30km先の初山別まで行くことができれば、天文台で星を眺めることができたのだが...。でも、サイトの正面には、日本海が開け、沖には天売・焼尻島、そこに沈む夕陽はみごとだった。

 

    グリーンヒルキャンプ場

 

 

 ジェットコースター気分で 8月17日 苫前→羽幌→天塩 84km

    広く走りやすい天塩付近

 出発前、隣のテントのおじさんから、「ボク、完走したら、ご褒美にこれあげる」と、息子は双眼鏡をもらってしまった。子供が自転車で旅行しているといろいろな人が励ましてくれるのが、本当にありがたい。オロロンラインは海沿いだから平坦な道を想像していたが、羽幌から北はアップダウンが多い。しかし、この日は幸いなことに強い追い風のため(すれ違うサイクリストは向かい風にかなり苦労している様子で気の毒だが)、下り坂で最高時速54kmを記録(ペダルを漕がないで)。下り坂では痛い尻をサドルからあげられるのも嬉しい。アップダウンにスピードにまるでジェットコースターに乗っている気分の一日であった。天塩の鏡沼海浜公園キャンプ場では、風がやたら強いので、リッチにコテージを借りることに。

  

 

 利尻富士を眺めてのんびりと 8月18日 天塩→兜沼 66km

        海岸で砂の利尻富士をつくった

 左手の海上には利尻富士の雄姿、右手には広大なサロベツ原野。前方は地平線の陽炎の中に道路が消えている。こんな景色の中を親子で走るのは、この上ない至福のとき。海岸で遊びながらゆっくり進むことに。

 このあたりの海岸は漂着物が非常に多い。流木や外国語が書かれたごみ、生き物の死骸など、いろいろな掘り出し物もあるので、ついつい浜辺に長居をしてしまう。なぜかボールもたくさん落ちているので、流木をバットに野球もやった。海に向かって打てば、すぐにボールは波で打ち寄せられる。浜辺は、まさに自然のバッティングセンターと化した。

 先に進むにつれて利尻富士が大きくなる。お目にかかるのは、20年前に登頂して以来。水平線に裾野を大きく広げるさまは、見ていて飽きない。また登ってみたい。

 

       兜沼キャンプ場

 

 

 

 走った!疲れた!120km走破

  

  8月19日 兜沼→稚内→宗谷岬→浜頓別 121km

 

                                                                           宗谷岬

 夜は冷え込みが厳しくよく眠れなかった。明日は天気が崩れそうなので、今日は距離を稼ぎたい。息子にはかなり厳しいかもしれないが、浜頓別を目標に出発。まずは稚内に出るまでに、向かい風と丘陵地帯のアップダウンに苦戦を強いられる。宗谷湾沿いの道でも海峡から吹きつける冷たい風に悩まされた。パーキングエリアで、休んでいると、こわそーなおっさんの車がとまった。自転車を横倒しにしていたのでトラブルかと思い声をかけてくれたのだった。息子が欲しがっていたガソリンスタンドで配られている旗をプレゼントしてくれた。

 なかなか宗谷岬が見えない。何度か岬らしきものが見えるがカーブを曲がるたびに入り江が見えてくる。向かい風がきつく、先頭を引っ張り息子の風除けになる。あと3kmの標識から息子を先頭に出した。俄然元気になりスピードアップ。父親を置いていく。

 とうとう宗谷岬に到達した。水平線の向こうにはかすかにサハリンが見える。今回のツーリングでは、唯一の観光地で人が多い(他の道内の観光地に比べれば少ないのだが)。「チャリダーさん、ご苦労様!」「どこから自走ですか?」「ぼく何年生?」など、周りの観光客やサイクリストからやたらと声がかかるが、人の多さに戸惑い気味。2人でバンザイで写真を撮ろうとしたが、息子の手はあがらなかった。 最北端には、昨年も車で来ているが、自転車で到達した感激は大きい。ビールで乾杯(息子はジュース)。  

 小さな冒険

 ほろ酔い気分で南下を開始。オホーツクの海岸線と周氷河地形のアップダウンがダイナミックだ。最北端を制覇してから息子の調子がやけにいい。上り坂ではみるみる距離をあけられてしまう。この旅が始まってからずっと「ケツイタ症」を患っていた2人だが、息子にはもう尻の痛みはなくなっていた。羨ましい。

 道の駅さるふつ公園で「今日はこの辺でテントを張るか」と息子に聞くが、「温泉のある浜頓別まで行きたい」という。しかし、朝から向かい風とアップダウンの繰り返しで、2人ともかなり疲れている。浜頓別まではさらに30km。親としては無理をさせたくないが、明日の天気(予報では雨)を考えると...判断を迷った。 「最後までがんばれる」と言い張るので、この先のコースや日没を過ぎても走らねばならないことなどをよく説明し、覚悟できていることを再確認し、「冒険」することにした。

 上下のウィンドブレーカーを着て寒さ対策をしっかりとして、浜頓別へとペダルを漕ぐ。途中、民家から犬が飛び出てくると、疲れていても猛ダッシュ。熊に注意を払うことはあるが、放し飼いの犬は意表をつかれ、びっくりさせられる。広大な浅芽野原野を過ぎて、あと10kmをきった頃からは、もうへとへと。浜頓別の街にはライトをつけて到着した。大人にとっても厳しい条件下での長距離を、小学4年生がよくがんばったとつくづく思う。クッチャロ湖畔のキャンプ場にテントを張り、温泉で疲れを癒し、早々に寝袋に潜り込んだ。

 

 クッチャロ湖畔で雨の休日 浜頓別滞在 0km

 夜半からの雨が午前中も降り続き、連泊することに。止むどころか雷まで鳴り出し、雨脚も激しくなった。テントサイトも水びたしとなり、急遽、テントをたたんで温泉宿に泊まることにした。湖畔の野鳥観察センターを見学。クッチャロ湖がラムサール条約の湿地として登録されていることを、息子は学校で習ったという。白鳥の渡来日当てクイズに応募したり、望遠鏡で野鳥を見つけたり、自然についていろいろと学習した。泉質は別府に次ぐ?と言われる浜頓別温泉にゆっくり浸かり、のんびりと一日を過ごした。

 

 砂金採りで一獲千金 8月21日 浜頓別→北見枝幸 50km

        黙々と川底を掘る

 とうとうこの旅も最終日を迎えた。今日は息子が楽しみにしていた砂金採り。(昨年も車で隣の中頓別へ砂金採りに来たのだが、もう夕方でできずに残念な思いをしていた)。天気も回復し、意気揚々とウソタンナイ砂金採掘公園へ向かった。バカ長(腰までの長靴)を履いて川に入り、鍬で川底の土砂を掘って、板にのせる。その板を揺すりながら、細かい砂だけを残していくと、最後にキラッと輝いているものが出てくる。これがゴールド。それを見つけた時の喜びはたまらない。しかし、結構な重労働で腰が痛くなる。息子は砂だけを残すのがうまいので、川底を掘る係は親。分業して十数つぶの金をゲット。息子が板を唇にぶつけてパックリと切ってしまったため、適当なところで切り上げた。

 最終目的地の北見枝幸を目指す。オホーツク海沿いの国道238号では、西から強風が吹きつけときおり、バランスを崩してしまうほど。北見神威岬を回りこむと、耕運機で旅している人とすれ違った(もしかしてアウトドアの世界では有名なあの人?かな)。北見枝幸に近づくにつれてもっと走りたいという思いが強くなる。この時、2人で来年も北海道を走ろうと決めていた。